【瓦屋根改修工事】古い住宅にガイドライン工法は正しいのか

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昔の瓦屋根の考え方

まず、昔の瓦屋根が地震や台風などに対してどの様な考えで施工されていたかをご説明する必要があります。

昔の瓦屋根の施工は、屋根の端に施工される役瓦だけ緊結でした。

桟瓦と呼ばれる屋根中央で使用される瓦に関しては、無緊結にて納めていました。(後に、1枚おきに緊結など施工要領が変化します)

なぜこの様な施工方法が採用されていたのか

元々の考えは、大地震の際に地震の揺れに逆らわず屋根から瓦を落として、建物の倒壊を防ぐ考えだったと聞きました。

東日本大震災以降、屋根が重いと地震に弱いと耳にする方が多いと思いますが、昔の考え方も同じで、有事の際にはどの屋根よりも軽量になるように施工していたようです。

また、瓦が壊れたら直せばいいけど、住宅が倒壊したら直すのは困難で巻き込まれる方も多いから瓦を犠牲にしよう、と言う考えもあったそうです。

全点緊結時代へ

2022年から瓦全点緊結の時代へ移行します。

この、全点緊結がガイドライン工法と呼ばれる工法です。(仕様要領などの詳細は、下記記載のPDFにてご確認ください)

有事の際の瓦に対する考え方が変わり、地震や強風で瓦を崩さない・落とさない、家族やご近所さんに瓦の落下で怪我をさせない考えに変わりました。

この考え方も正しく、歩行者や家の近くにいる方の人命第一に考える事は大賛成です。

現代の耐震基準や法律で建て、住宅の構造自体が強くなっていれば、ガイドライン工法が最適だと思います。

住宅の中にいる方、外にいる方、全ての方の人命を守れる可能性が高くなります。

ただ1点、古い住宅にも適切な施工方法なのか、私の中に疑念が残ります。

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https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/kawararoof_pamph.pdf
監修 国土交通省住宅局市街地建築課市街地住宅整備室
協力 国土交通省 国土技術政策総合研究所/国立研究開発法人 建築研究所/合資会社 鼠ヶ関セメント瓦工場
編集 株式会社 市浦ハウジング&プランニング
発行 一般財団法人 日本建築防災協会

古い住宅に瓦屋根ガイドライン工法を採用した改修工事は正しいのか

昔の耐震基準・昔の法律・昔の構造計算・昔の考えで建てた住宅が、ガイドライン工法に適応できるのか疑問があります。

能登の大地震を写した報道で、瓦屋根が綺麗な状態のまま建物が潰れてしまっている映像を見ます。

住宅の仕様からして築年数が古く見受けられ、その住宅に瓦屋根耐震工事でガイドライン工法を採用した住宅だと思います。

住宅の構造は耐震性が低く、瓦屋根の耐震性が高い事で生じた齟齬で、この様な状態になっているのでは無いかと感じました。

瓦の崩れ落下は抑えられても、住宅自体が倒壊してしまったら、内外問わず巻き込まれてしまう方が多数出る可能性も捨てれません。

私自身ハッキリとは答えが出ていませんが、現段階では、住宅を建てた当時の耐震性に合わせた工法で瓦屋根の改修工事を施工する事が良いのではないかと考えています。

お付き合いさせて頂いている瓦屋さんの親方も同じ意見で、住宅の倒壊を抑えて瓦が崩れる方が被害が少ないのではないかと同じ意見を頂きました。

行政・メーカー・工事会社なども安直にガイドライン工法を推奨するのではなく、建てた年代の耐震構造に応じた改修工法をしっかりと見極める必要があるように感じます。

私の考えが絶対に正しいなどとは思っていません。

私と反対の意見の方もいらっしゃるでしょうし、「なるほど」と思わせるような考えをお持ちの方もいらっしゃいます。

色々な意見がぶつかり、最適解に導かれ、本当の意味で人命第一の工法が確立されていくと考えています。

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