【防水シートの知識】高分子系ルーフィングの歴史
高分子系ルーフィング
高分子系ルーフィングを平たくお伝えすると、ビニール系防水シートです。
今現在の主流は、間違いなくアスファルト系ルーフィングですが、一昔前の瓦屋根工事では、高分子系ルーフィングが多く使われていました。
※高分子系ルーフィングの新品を参考写真で載せたかったのですが、長い事扱っていないので写真が見当たりませんでした。
何故、瓦屋根工事で多く使われていたか
瓦屋根は、瓦を固定する横桟木=瓦桟をルーフィング(防水シート)の上に施工します。
アスファルト系ルーフィングの上に瓦桟を施工すると、ルーフィングと瓦桟が貼り付いてしまい、ルーフィング面に侵入した雨水をせき止めてしまう可能性があります。
そのため、きずりテープなどを用いて、ルーフィングと瓦桟の縁を切る(浮かせる)施工が必用になるのですが、【高分子系ルーフィングの場合】瓦桟に貼り付かず縁切りの必要がないため、瓦屋根工事で多く使われてました。
高分子系ルーフィングの末路
瓦業界で高い評価を受けていた高分子系ルーフィングですが、とある問題が発生します。
それは【伸縮に伴う劣化】問題が露見しました。
高分子系ルーフィングは、アスファルト系ルーフィングと比べて、寒暖差による伸縮が物凄く大きい材質です。
この伸縮を繰り返すと、ルーフィングの表面にカッターで切った様な裂けが起きたり、パーマをかけた様にクルクル丸まり屋根下地が露見してしまいます。
この問題が発覚して以降、高分子系ルーフィングの評価が一転してしまい、瓦屋根工事でも殆ど使われなくなりました。
今現在の高分子系ルーフィングは、当時の問題を経験していない比較的若い職人が夏場に使用している事があります。
と言うのも、夏場にアスファルト系ルーフィングを使用すると、アスファルトが溶け出してしまい足袋を汚してしまう可能性があります。
その汚れた足袋で屋根を歩行すると新品の屋根面を汚してしまう可能性があり、掃除もかなり大変なため、それを避けるために高分子系ルーフィングを使用するそうです。
私としては、高分子系ルーフィングも進化しているかもしれませんが、当時の経験があるため怖くて使えないのが本音です。
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